2011年7月27日水曜日

乃美1号遺跡(7月26日)

 前回の最後にご紹介した土器がたくさん出土しているという黒色土について、調査の経過をご報告します。下の写真が、中世の生活面の調査を終え、黒色土を掘り下げていく前の状況です。この状態のときにははっきりとは分かりませんでしたが、何基かの堅穴住居跡があるのではないかということで、調査を進めていきました。
 調査を進めていくと、黒色土部分からは堅穴住居跡6基と溝1条が見つかりました。
下の写真をよく見てください。堅穴住居跡と溝が何重にも重なり合っているのがわかりますか?  ほぼ同じところに何度も住居を建て替えているということは、この土地がよほど住み良い場所だったのでしょう。
 





 今回は、何度も建て替えが行われた住居の1つである写真奥の堅穴住居跡について、ご紹介します。
 調査区には住居の約半分しかかかっていないのですが、直径約10mの規模で円形の堅穴住居跡です。    住居内からは炉と思われる炭化物層や焼土層のある土坑や多数の柱穴が検出されました。壁溝が多数あり、何度も拡幅しながら建て替えが行われたようです。

 この堅穴住居跡からは、土器などたくさんの遺物が見つかりました。また、碧玉製の管玉や小型の壺がほぼ完形の状態で見つかるなど大変興味深い住居です。(下の写真) 調査が進むにつれ、遺跡の性格が明らかになってきていますが、調査途中のため、まだ詳細の分かっていない黒色土部分があります。今後はその部分の調査を進めていき、遺跡の全容を探っていきたいと思います。