2010年8月26日木曜日

御建遺跡(8月27日)

 7月から始まった遺跡の調査も無事、終了することができました。
調査では、井戸跡や柱穴のほか、ため池の跡が見つかりました。ため池の跡は調査することが少なく珍しい例といえます。 池からは幅約2mの溝が東へのびていました。検討の結果、昨年の調査区で見つかった溝の続きであることがわかりました。水は東から池に向かって流れていたようです。
 調査によって明らかになったのは、ため池の南東隅の部分です。見つかった部分は、幅が東西3.5m、南北2.5mの範囲で、深さは約1.5mでした。
 土手からは、当時生えていた草の痕跡や池に生息していたと思われる虫の死骸などが見つかりました。その他には、備前焼の甕や土鍋、青磁椀が出土したことから、池は16世紀半ばごろに埋め立てられたと考えられます。


(虫の死体)

 また、木の葉や実も見つかりました。このような動植物の遺体からは、戦国時代の御建地域の自然が思い起こされます。


(池から出土した木の葉)
 







 
 


 
 
 

 
 

 

2010年8月25日水曜日

御建遺跡(8月26日)

 御建遺跡が紹介された番組は見ていただけましたか?まわりからは担当者の演技もなかなか好評のようでした。


 今回の調査では、たくさんの石製品が見つかりました。遺跡全体では50点以上になりました。なかでも、一番多かったのは、以前ブログでお話しした石組みの井戸に使われていた五輪塔です。そのうち、丸い形の水輪が最も多くて20個、次に多かったのが空・風輪で13個でした。

 作業員さんたちの間で一番人気のあったお地蔵さま(中央)

 またその他には、9体のお地蔵さまが見つかりました。お地蔵さまは、全て坊主頭で手は合掌しています。一体一体の顔や体の彫り方がバラバラで、石工職人は一人ではないのかもしれません。そして、きちんと形が整えられたものがほとんどなく、つくりかけてやめてしまったようなものばかりでした。
 以前、石材はどこから持ってきたのか2つの説があるとお話ししましたが、これで、近所で失敗作をもらった説が少しリードしたような気がします。


御建遺跡(8月23日)

 残暑お見舞い申し上げます。毎日、経験したことのないような熱さが続いていますが、みなさんは大丈夫ですか?
 今回は、井戸の中から出土したものについて書こうと思います。
(写真1)
 写真1は、羽子板です。長さは、約22cmで途中から折れています。羽根つきは中国から室町時代に日本へ伝わったとされています。羽根つきで使う玉が飛ぶ様子が蚊を食べるトンボに似ているので、子供が蚊にさされないおまじないとしてはじめられたとも言われています。
(写真2)
 写真2は折敷(おしき)の縁です。折敷とは、食器などをのせる時に使った四角いお盆のことです。赤い漆の上に真中には萩の花(写真3)、その左右には竹が黒漆で描かれ、その上に透明な漆が塗られています。
(写真3)※萩の花部分
(写真4)
 写真4は、枡です。大きさは約8cm×8cmの正方形で高さは3cmほどです。現在の枡からするとやや小さめですが、大きさからみて一合枡のようです。外側から側面を2か所、底を4か所、竹の釘で留めています。
 
 この他には、はしや漆椀、魚の骨などが、見つかりました。これらは、井戸の周囲で洗いものをしていて落としてしまったり、ゴミになったものを投げ込んだものと思われます。



2010年8月5日木曜日

御建遺跡(8月4日)

 今日、ホームテレビの「レッツ! 東広島」という番組の取材を受けました。遺跡の簡単な紹介をして、レポーターの方には発掘の雰囲気を味わってもらいました。



 放送は8月25日午後6時55分からの予定だそうです。みなさん、ぜひご覧ください。担当者の名演技?にも注目です。