2009年9月14日月曜日

御建遺跡(9月2日)


 今回は今のところ調査区内で一番古い遺構をご紹介します。遺跡のやや東側、前回、紹介したレンガ遺構のすぐ北側に位置します。
 直径は2.0~2.5m、深さは3.0m以上の大きさの井戸です。周りを木枠や石で補強していない、地面を丸く掘ったままの素掘りのものです。井戸はこれを含め3つ見つかっていますが、この遺構が一番規模の大きなものです。
 上の写真は土の堆積状況を観察するために半分だけ掘ったところです。写真を撮影した後は、実測といって紙に記録していく作業を行います。井戸のように水が湧く遺構では、堆積した土がもろく崩れやすくなっているため、いつもより急いで実測しなければなりません。今回はめでたく今回は最後まで記録することができました。
 下の写真は人力で掘れる限界まで掘った状態です。井戸の底までもう少しだったのですが、これ以上掘ると危険なので途中でやめることにしました。井戸の中からは青磁の椀や土師質土器の擂鉢、土鍋、中世の瓦が見つかっています。これらから井戸が使用されていた時期は16世紀中ごろと考えられます。

2009年9月3日木曜日

御建遺跡(9月1日)



 
 
 遺跡の調査も開始から2か月が経ちました。その間、いろいろな遺構が見つかりました。ここで紹介するのはレンガ遺構です。(写真上)大きさは3.8m×3.8mの正方形で、現状では1.4mほどの高さまでレンガが残っています。このレンガは「イギリス積み」と呼ばれる方法で積まれています。「イギリス積み」とはレンガの長い面ばかりの段と短い面ばかりの段が交互になる積み方のことを言います。
 左側の四角い部分(写真中央)は中央に穴が開いていて、内側には煤が付着しています。これは焚口と考えられます。
 右側のアーチ部分(写真下)は人が出入りするには小さめで頭を低くしなければなりません。そのため日常的な人の出入りを目的として造られたものではないと考えられます。
 遺跡の場所が西条駅周辺ということで醸造に関係するものとも考えられますが、現在のところ、いつごろ、何のために造られたのか謎です。しかしその後は倉庫のようなものとして昭和の時代まで利用されていたと思われます。そこには、排水設備として土管が埋設されていました。その時、土管を埋めやすいようにアーチ部分を壊して広げたようです。
 このレンガ遺構の性格については現在調査中です。分かりしだいお知らせしたいと思います。